チョロQ引っ張った分だけ速く走るのおもろくて後ろに引きすぎて壊したことある

ひまなのでこのあいだ観に行ったライブの話をする。

 

NGKで定期的にやっている「2×2」というライブに行った。
東西から2組ずつ集まって4組でネタとコーナーをするライブだった。その日は黒帯とコウテイ・オズワルドと蛙亭の4組で、ちょうど先週にABCお笑いグランプリがあってオズワルドと蛙亭のネタをテレビでみていたこともありすごく嬉しい組み合わせだった。
とはいえ中でも一番嬉しかったのが黒帯で、普段から黒帯の主催するライブやyoutubeをよくみていて、ここ1年くらいはずっと黒帯漬けだった自分には、2人が比較的近しい空気を感じるほかの3組とNGKで相まみえる機会が貴重だと感じた。

 

 

黒帯を初めて知ったのは4,5年ほど前だったと思う。M-1の予選動画で金属バットの漫才に衝撃を受け、youtubeで金属バットのラジオを聴くようになった。その流れでインディーズのライブにも行くようになったとき、そこに出ていたのが黒帯だった。
初めてみた時は、てらうちさんの脱力したツッコミとふたりの悪ぶる態度から金属バットフォロワー、というふうに見えてそれ以外の気持ちを持てなかった。ただ、金属バットの出るライブに行くと黒帯も出ている、ということが多々あったので自然と黒帯をみる機会も増えていった。
ネタや話しているところを聞いていると、黒帯の魅力がなんなのかわかってきた。

 

ボケもツッコミも等身大で突飛ではなくて、それでいてふたりらしい視点や言葉なところだ。(これはあくまでも自分が感じる黒帯の好きなところ。)
システムに沿った構成で、多くはないボケなのにそのひとつひとつのくだらないこと。「学生の頃に教室の隅でふざけて話してたことに似てるな…」と思わせる懐かしさがとても好きだ。
「うんこ味のカレーとカレー味のうんこ、どっちも食べんでええ」とか「しんどいときは女に優しくせんでええ」とか…大きな声では言えないけど、ちょっと心が荒んでいて気だるいときに思っちゃう「もうええねんそんなん」みたいな気持ちを思い出すし、
「きれいなほうき取り合いになる」とか「年越しにコンビニでバイトしてると公共料金の払い込み用紙に押す判子の日付の年の数字変えるのが楽しみ(大西さんがyoutubeで話してた)」とか、
普段そんな細かいところばっかり気にして・気になってるんだなぁみたいな、友達付き合いなどで忙しくしてなさそうな性格が見えてより親近感がわく。

 

そこに黒帯らしさを感じるのは、笑いをとるために少し誇張したりみんなが考えつかないようなことを言おうとする人が多い中で、自分たちが見たり感じたりしたことがその発言のベースになってるんだろうなと感じられるから。

 

最近ではらしくなく頑張ることをやめてみたり、芸人とはこうあるべきみたいな先入観を取っ払っていろんなことをしたり言ったりしようとしていて、いままで見てきた芸人にはない価値観が芽生えているところもすごく興味深い。
だからこそうまくいかなかったり大変なことも他の人以上に多いだろうし、周りの人やお客さんから歓迎されない場面もあるかもしれない。
以前の凝ったネタもおもしろいしすごいな、って思うけどいまの黒帯のやり方でどこまで仕事ができるのかとても楽しみだ。

 

 

と、遡った勢いで考えてしまった。 でも、どちらかというとお笑いの世界の端っこにいたそんな黒帯が一押しの若手芸人としてNGKの舞台に立っているのがうれしくて、このライブが一層貴重に思えたということで。

オープニングから、ここに呼ぶなら自分たちじゃなくてカベポスターだとかぼやきながらあきらめムードで出てきたけど、東京に行って調子に乗っている中野さんがてらうちさんの一言で一蹴されたり、大西さんの欲が出たしょうもないニュアンスのトークテーマとか、ちゃんと黒帯らしくて笑いも起きてて良かった。
でも全体的になんとなく全盛期を終えたおじいちゃんのようなまなざしになっていて、ネタの出番もトップバッターで切なかった。
後半のコーナーでも、あるミニゲームでみんなが達成できない中大西さんがひとりで全部クリアしようとしていたけれどやっぱりイジられるのは中野さんだったり、大喜利でおもしろくてしっくりくる回答をしたてらうちさんの次にはインパクトの大きすぎる畠中さんが控えていて、実際に畠中さんのターンで大盛り上がりしたり…。
全体でみるととてもおもしろくて盛り上がりのあったライブだったけれど、自分の中では黒帯の二人がどんな思いでその場所にいるのかを考えてみたくなる時間になった。

 

その後、毎週アップしている黒帯会議でこのライブの話をしていて、聞きながらその時の姿を思い出してしみじみしたりした。